本来、家族は安心できる場所であり、個々が成長するための基盤となるべきものです。しかし、家庭内で適切な役割分担やコミュニケーションが欠如すると、家族全体のバランスが崩れ、「機能不全家族」と呼ばれる状態になることがあります。
そこで本記事では、機能不全家族の定義から特徴、子供に与える影響までを詳しく解説します。
本記事を通して、機能不全家族がもたらす問題を理解し、あなたが自分の足で人生を歩むきっかけになりましたら幸いです。
佐藤みなと
30歳のときの離婚をきっかけに自分の親が毒親だと気づき、「毒親の解毒メソッド」を構築しながら解毒。毒親とは絶縁済。現在は、毒親育ち専門のカウンセリングを行っている。1児のママ。
機能不全家族とは?
機能不全家族とは、家庭内での役割や関係がうまく機能しておらず、家族全員が心身の健康を損なう可能性がある状態のことです。
本来、家族とは、安らぎや成長を支える場であるべきです。しかし、機能不全状態では、適切な役割分担やコミュニケーションが欠け、ストレスや不安を生み出し、特に子供の心身の成長に支障をきたしてしまいます。
典型的な例では、
- 親が子供の行動や思考を細かくコントロールし、自由を与えない
- 家族間でほとんど会話がなく、感情を共有しない
- 身体的暴力や精神的虐待が日常的に行われている
- 親が子供に自分の夢や目標を押し付け、達成を強制する
- 家族内の問題を外部に知られることを避けるために、全員が真実を隠す
などが挙げられています。
機能不全家族の特徴チェックリスト
この記事を読んでくださる方は、「自分の家族は機能不全家族では?」と思い始めているかもしれません。
そこで、機能不全家族の特徴として10個のチェックリストにしましたので、ぜひ自己診断をしてみてくださいね。
- 家族間の会話がほとんどない
- 家庭内に暴力や怒鳴り声が日常化している
- 親が過度に子供の行動をコントロールする
- 親がアルコールや薬物に依存する
- 家族の誰かが孤立している(家族との接触が少ない)
- 家庭内のルールがあいまいまたは極端である
- 家族に冷たく無関心な態度が見られる
- 親が子供に過剰な期待を押し付ける
- 家庭内で常に緊張感がありリラックスができない
- 外部との交流が少なく孤立している
今回のチェックリストでは、該当する項目が少なくても、機能不全家族である可能性が高いです。現状を把握するためにも、大人になった今の時点で、自分が適切な家庭環境で育っているのかの目安として、診断を活用してみてくださいね!
なぜ機能不全家族が生まれるのか?
機能不全家族が生まれる原因は、親の精神的問題や経済的困難、ジェネレーションギャップなどが挙げられます。この中で毒親が生まれる背景には、「親の精神的問題」が大きく関わっていると言えるでしょう。
私たちの親世代は、20代~30代前半に結婚して、子供を2人以上設けるのが多数派の時代です。結婚が義務のようになり、親の言われるまま「世間体」を気にして結婚を急ぐので、結婚にも子育てにも責任を感じずに結婚してしまうのです。
これには精神的な未熟さもあります。親世代はお見合い結婚が主流だったので、結婚するにしても「親が手取り足取りやってくれる」状態で、結婚に対する姿勢は受け身だったのではないでしょうか。
そのため、「こんなはずではなかった」とばかりにキャパオーバーとなり、そのストレスや不満の矛先が子供に向けられます。自分のことに精いっぱいで、子供は道具のような扱いになるのです。
機能不全家族が子供に与える影響は?
機能不全家族で子供が育つと、子供が家庭で学ぶべき人間関係や自己表現などが学べません。成長に必要な力が育ちにくくなります。
機能不全家族が子供に与える影響は以下のとおりです。
- 影響1:自己肯定感の低下
- 影響2:対人関係の問題
- 影響3:不安やストレスの常態化
- 影響4:アダルトチルドレンの傾向
- 影響5:学業や将来への影響
- 影響6:精神的・身体的な健康問題
影響1:自己肯定感の低下
機能不全家族で育つと、自己肯定感が著しく低下する可能性があります。
家庭内で家族に認められる経験が少ない、または経験自体がないので、自分を肯定的に見る力が育ちません。親からほめられる機会が少ない子供ほど、自分の価値を感じられず、「自分なんて」と考えるようになります。
大人になってから克服する場合、自分で意識的に自分をほめる習慣をつけたり、人間関係を選んでポジティブな交流をしたりすることで、自己肯定感を高めていきます。
影響2:対人関係の問題
機能不全家族で育つと、他者との関係を築くのが苦手になることがあります。
家庭で「健全な人間関係のモデル」を学ぶ機会がなかったため、他人との距離感、言葉の掛け方・言い方がわからず、孤立しやすくなります。親が感情を爆発させる家庭で育った場合は、他人に対しても攻撃的になったり、極端に受け身になることがあります。
相手の感情や価値観を自分の思い込みで決めつけてしまうこともあります。いわゆる「認知の歪み」が生じているので、認知を矯正する必要があります。
影響3:不安やストレスの常態化
機能不全家族は、子供に慢性的な不安やストレスを与えます。家庭が安全な場所と思えないため、子供はつねに臨戦態勢で、心の緊張状態が続きます。
親同士または親と頻繁に喧嘩をしたり、言い争いをしたりする家庭では、自宅にいることが居心地悪くなります。睡眠が浅いのが影響して、学校生活に集中できなくなることもあります。
影響4:アダルトチルドレンの傾向
機能不全家族で育った子供は、大人になっても「アダルトチルドレン」として生きづらさを抱えることがあります。
機能不全な環境で学んだ生存スキルが、大人になっても適応的に働かないことが多いためです。たとえば、他人に対して過剰に気を遣いすぎて、自分の意見を言えない、我慢をするといったことが挙げられます。
影響5:学業や将来への影響
家庭内が不安定な状態だと、子供の学業や将来の選択にも影響を与えます。
機能不全家族として問題を抱えると、家庭のことに目を向けがちになります。集中力に欠けて勉強に力を入れづらくなり、自己肯定感の低さから将来に悲観的になることもあるでしょう。
子供は将来に絶望したり、自分の可能性に限界を悟ったりすることもあります。「この程度の人間にしかなれない」と、諦めグセがついてしまいかねません。
影響6:精神的・身体的な健康問題
昨日不全家族で育つ子供は、精神的および身体的な健康を抱えやすい傾向があります。
慢性的にストレスを抱えているので、抱えきれなくなって悪影響が出ます。症状に個人差はありますが、不眠症、摂食障害、適応障害、うつ病といった精神疾患に患いやすいです。
精神疾患は、一度かかってしまうと完治は難しい病気です。我慢して耐えるのではなく、家族を手放すという選択も検討の余地があると言えるでしょう。
まとめ:自分の足で自分の人生を歩むきっかけにしよう!
本記事では、機能不全家族の定義から特徴、子供に与える影響までを詳しく解説しました。
最後に、「機能不全家族の特徴」について、おさらいしましょう!
- 家族間の会話がほとんどない
- 家庭内に暴力や怒鳴り声が日常化している
- 親が過度に子供の行動をコントロールする
- 親がアルコールや薬物に依存する
- 家族の誰かが孤立している(家族との接触が少ない)
- 家庭内のルールがあいまいまたは極端である
- 家族に冷たく無関心な態度が見られる
- 親が子供に過剰な期待を押し付ける
- 家庭内で常に緊張感がありリラックスができない
- 外部との交流が少なく孤立している
この記事を通して、自分の家族が「機能不全家族」だとわかると、信じたくない気持ちもあって思い悩むかもしれません。それでも、「機能不全家族を手放す」という選択肢があることを頭の隅に入れておいてください。
あなたが思い悩んだぶんだけ、「今の状況は私のためにならない」と悟るきっかけが意外に日常にちりばめられています。あなたの足であなたの人生を歩めることが大切です。
親のお悩み解決カウンセリングがおすすめです
毒親のお悩みは、毒親のお悩み解決カウンセリングで解消することがおすすめです。
結婚、妊娠、出産、育児は、毒親育ちの女性だけでなく、男性にとってもハードルの高いことでしょう。だからこそ、生涯独身を決めている方が多いのですが、決めつけているだけで本心は違うこともあります。
決めつけ(決断)は、毒親育ちが解毒するために大切なことのひとつです。しかし、それによってあなたの自由や選択肢を狭めてしまっては、本末転倒ではないでしょうか。
効果的なのは、肯定も否定もせずに自分の話を聞いてもらうことです。話を聞いてもらうことで、納得感が増したり、新たな価値観に気づくこともあります。ぜひ受けてみてくださいね!
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